
Khao Luang Cave, Phetchaburi
・季節の花に人生を重ねて
(8月の花より)
タチアオイ(立葵)
困難に打ち勝ち、生き抜く姿を教えてくれます。
真夏の厳しい日差しを浴びながら咲き誇ります。赤、淡紅、黄、白と豊富
な彩りと椿に似た姿は酷暑を越して秋風が立つまで健全で、夏の花らしい華
やかさとそれでいて爽やかな風情があたり一面に広がっているようです。
葵と言えば徳川将軍家の家紋をすぐに連想しますが、家紋の葵は立葵の
葉ではありません。ウマノスズクサ科に属する双葉葵という種類で、京都賀
茂神社の葵祭に飾られる草で「賀茂葵(カモアオイ)」とも呼ばれます。
これに対して立葵はアオイ科ビロードアオイ属の園芸品種で、よく英名のホリ
ホックと呼ばれています。アオイ科の多年草で室町時代頃に中国より伝わっ
たと言われています。
庭先などでごく普通に見かけますが、その魅力は花の咲き方にあります。
花穂(かすい)の根元から上に向かって順番に咲いていきます。それは「咲
き登る」といって、進歩向上の姿のように思えます。
さらに夏の間ずっと咲き続ける花期の長さも魅力の一つです。極暑で、気力も衰えがちな夏季を、
立葵は咲き登った元気な姿で私たちを応援してくれているのです。
では、夏負けせずに咲き登る立葵の気力の源はどこから生まれてくるので
しょうか?その秘密は「二年草」という点にあります。
五、六月頃に種子から芽吹くのですが、その年は花を咲かさずに、冬とともに枯れてしまうので
す。しかし、地下の根っこは、地上部分が冬枯れした後も、営々と力を養い
、凍てた地中で「生命の根」を守り、耐え抜き、二年目の春の陽光とともに
芽吹くのです。
まるで、困難に耐え抜き、障害を跳ね除け、見事な花を咲か
せて「いのち」を輝かせるのが立葵なのです。
傍目には挫折とも見える受難の時を、立葵は自分を大きく伸ばす好機とし
て生かすのです。しっかりと自らの開花の時季を選び、真っ直ぐな茎に次々
と大輪の花を咲かせていきます。
みなさまもどんな苦しい時が迫ろうと、立葵のように、自分を大きく咲かせるための試練の機会と受け取り、人生を生き抜いてください。
「気高く威厳に満ちた美」「大望」「野心」「豊かな実り」という花言葉
が付けられました。花が高く伸びた茎に咲く姿が、「気高く威厳に満ちた美
」という花言葉の由来です。「美」が付く花言葉から、よく女の子の名前に
も利用されます。
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