日銀の政策転換により住宅ローン金利上昇は加速
日銀が金融緩和を修正で…住宅ローンの7割以上を占める「変動金利」はどう動く?
低金利時代は終わりを告げようとしているのか。昨年末、日銀は金融政策決定会合で長期金利の変動幅の上限を0.25%程度から0.5%程度に引き上げたことが、早くも住宅ローンに影響しています。
住宅ローン金利は上昇するも、まだ低金利

(出典ダイヤモンド不動産研究所の記事を引用)
まずは住宅ローン金利の長期的な推移(18年分)を見てみましょう。 グラフを見ればわかる通り、住宅ローン金利は、変動金利も、全期間固定金利(フラット35)も、非常に低い水準にあります。 変動金利は今なお下落を続けています。かつては2%近い水準でしたが、現在は実質金利で0.4%程度まで下がっています。過去最低水準と言えます。 一方で、全期間固定金利は、2004年ごろは3%台でしたが、2019年には1%台前半まで下落。その後、世界的な金利上昇などを受けて、足元では金利が上昇し始めています。全期間固定金利だけでなく、5年固定金利、10年固定金利も上昇しています。
市場金利(長期金利)が急上昇
住宅ローン金利に影響を与える市場金利も見ておきましょう。 米国の長期金利(10年国債)は、急速に進むインフレ対策として、年明けより継続的な利上げを実施。右肩上がりで上昇を続けており、直近も追加の利上げにより金利は上昇。2023年1月4日の米国長期金利は3.724%となっています。 日本の市場金利(10年国債)は、米国長期金利の上昇につられて徐々に上昇。2022年12月には、日銀が金利誘導目標を0.25%から、0.5%に引き上げたことで、金利は一気に上昇しました。現在(2023年1月4日)の10年国債金利は0.457%です。
変動金利は、auじぶん銀行が独走

ダイヤモンド不動産研究所
では、諸費用(手数料・保証料)を加味した「実質金利」ベースで、本当に割安な住宅ローンを見ていきましょう(表面金利が低くても、諸費用が高ければ意味がありません。両者を合計したのが実質金利です)。 2023年1月の「変動金利(新規借入)」は、調査した主要14行の住宅ローン金利について、金利を引き下げたのが2行、引き上げた銀行はありませんでした。 なお、auじぶん銀行は2年4カ月間連続で首位を維持しています。 ※実質金利は、借入金額3000万円、借入期間35年、団信加入、元利均等返済、ボーナス払いなし、最優遇金利を適用として、実質金利を計算。変動金利は現在の水準が継続と仮定。諸費用は、事務手数料等、保証料とする。 変動金利は、もっとも利用者が多く、金利競争の主戦場となっています。固定金利は上昇していますが、変動金利は上昇する気配がほとんどありません。 以下は変動金利の上位銀行の金利の推移です。 ・auじぶん銀行 0.289%(前月比±0.000%)全期間引下げプラン、au金利優遇割 ・SBI新生銀行 0.320%(前月比▲0.030%)変動フォーカス、キャンペーン ・PayPay銀行 0.349%(前月比±0.000%)全期間引き下げ ・SBIマネープラザ 0.375%(前月比▲0.015%)通期引き下げプラン ・みずほ銀行 0.375%(前月比±0.000%)全期間重視プラン 金利の低さにおいては、auじぶん銀行が独走状態です。SBI新生銀行、PayPay銀行、SBIマネープラザ、みずほ銀行、ソニー銀行が0.3%台で、auじぶん銀行を追いかけています。 今月、SBI新生銀行とSBIマネープラザが変動金利を引き下げ、それぞれランキングの順位を上げました。この2行は、住宅ローン需要期である1月~3月に合わせて金利を引き下げていると思われますが、これを受けて、2月以降に他の銀行がどう動くかに注目が高まります。 一方、日米金利差による円安進行にともなって、物価の上昇が止まらず、2022年12月にとうとう日銀が金融政策を転換しました。黒田総裁は否定していますが、金融正常化への第一歩だと考えられ、今後は、日銀は段階的に金利の引き上げを行っていくことが予想されます。 問題となるのは、そのスピードと上昇幅です。おそらく、日銀は、景気に影響を与えないような利上げを行うことに最も神経を使うでしょう。 以下は主要地銀等の金利です。 主要地銀等の表面金利ランキング(変動金利、新規借入) ※主要銀行除く、2023年1月0.325 % 中国銀行 0.395 % 紀陽銀行 0.415 % 横浜銀行 0.455 % 広島銀行 0.470 % きらぼし銀行、北九州銀行、埼玉りそな銀行 0.475 % 肥後銀行、西日本シティ銀行 0.495 % 関西みらい銀行 0.500 % 九州ろうきん、山陰合同銀行 0.505 % 愛媛銀行 0.545 % みなと銀行 0.550 % 西京銀行 0.575 % 十六銀行、池田泉州銀行 0.590 % 福島銀行 0.600 % JAバンク埼玉 、筑波銀行、大東銀行
10年固定金利は、上昇傾向

ダイヤモンド不動産研究所
2023年1月の「10年固定金利(新規借入)」は、調査した主要13行の住宅ローン金利について、11行が金利を引き上げ、金利を引き下げた銀行はありませんでした。 銀行は「10年固定金利」を、固定金利選択型の中核に据えていることが多く、激戦区となっています。 1月は、多くの銀行が金利を引き上げました。日銀の金融政策転換の影響を受け、これまで主力商品として、他の固定金利よりも優遇幅を大きくしていた10年固定金利ですが、その幅を小さくしているという印象です。みずほ銀行は0.3%も金利を引き上げました。 以下は上位銀行の金利の推移です。 ・SBI新生銀行 1.050%(前月比±0.00%)当初固定金利タイプ、頭金10%以上、割引プログラム ・ソニー銀行 1.245%(前月比+0.045%)住宅ローン、頭金10%以上 ・イオン銀行 0.990%(前月比±0.000%)当初固定金利プラン ・みずほ銀行 1.400%(前月比+0.300%)全期間重視プラン ・楽天銀行 1.442%(前月比+0.044%)金利選択型 なお、約2年間トップを維持していたみずほ銀行は、1月に金利を大幅に引き上げたことで、トップ3から漏れました。 10年固定金利の「借り換え」のランキングでも、長い間りそな銀行とみずほ銀行が低金利を争っている状態が続いていましたが、みずほ銀行が順位を落とし、金利を変更しなかったイオン銀行が相対的に順位を上げています。 なお、「借り換え」2位のSBI新生銀行は、2022年6月下旬に借り換え金利を大幅に引き下げ。その他の銀行を押し退け、いずれの期間でも借り換えランキングの上位に食い込んでいます。借り換えを検討している人は、SBI新生銀行を選択肢に入れてもいいでしょう。 10年固定金利については、10年国債金利をベースにしており、世界的な金利上昇の中で先高感もあって、上昇が始まっています。10年国債金利などに比べると、上昇スピードはやや抑えられていましたが、日銀の政策転換により今後、金利上昇は加速していくことが予想されます。
金利タイプ | メリット | デメリット |
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全期間固定金利 | ・安定して返済できる | ・市場金利が下がっても返済額が変わらない ・金利が高い |
変動金利 | ・金利が低い ・金利が下がると返済額が下がる | ・金利上昇のリスクがある |
固定期間選択型金利 | ・固定期間終了後金利が下がると返済額が下がる | ・金利上昇のリスクがある ・125%や5年ルールが適用されない |
モゲチェックとは
項目 | 詳細 |
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